書き出しはこんな感じ。タイトルはまだ未定なので仮。
SCC用にコピー本にするか、サイト連載用にするかちょっと考え中・・・。
コピーめんどくさいんですよねー。
一応「毛利家事変」と同設定です。
毛利家と長曾我部家の次世代がでばってきます。
いわゆる「戦BASAオリジナルシリーズ」ってやつでしょうか。
あんまりねー、こういうの支部では、読み手はどうなんだろうってちょっと思います。
全部サイトにお引越ししてもいいんですけど。
どうなんでしょうか。
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『長曾我部劇場(仮)』
若、と遠慮がちに声をかけられて、彼は振り向いた。そろそろ春だなあ梅が満開だなあ、などとぼんやり考えていた表情そのままで、穏やかに首を傾げる。柔和で優しげな顔立ちは女性のように整っていて、けれど次代の当主なのだからもうすこし威厳を、などと古い家老らはやんわり苦言を呈したりはするけれど決して嫌われているわけではなかった。なにしろ現・当主が当主である。同じような顔立ちながらどうしてこうも正反対の性格に育ったのか誰もが首を傾げるところだったが、おそらく早くに亡くなった奥方の影響だろう、いやいや人質として差し出された先の貴族然とした佇まいと肩身の狭さからこうも遠慮がちになったのだ、と四方八方から勝手な意見。だが結局は誰もがこの若い殿さまを気に入っていて、頼りないながらも支えなくては、守らなくてはと家臣一同決意に萌える、いや燃えているのだった。
「文が届いております」
「うん、ありがとう」
にこ、と笑い返すと従者はぶんぶん首を横に振って跪く。何故そこで顔を赤らめるのだ、と突っ込む人間はここにはいなかった。
「父上と・・・長曾我部、信親殿」
父であり現毛利家当主である元就は、現在鍋だかカブトムシだかの城へ行っているはずである。あやしい僧侶が気になるのでちょっとヤキを入れてくる、と言って数日前旅立ってしまった。大丈夫だろうか。
二通の手紙は一方は非常にぶ厚く、もう一方はぺらっぺらの短い紙を無理やり丸めた感があって苦笑する。言わずもがな、ぶ厚い方が父からの、残った方が長曾我部元親の嫡男信親からのものだろう。
どちらを先に読むか、などと考えることはしない。当然どちらを優先すべきかは決まっている。この、無駄に長くてくどくて神経質で同じことを何度も何度も繰り返してうざくてそのくせ最後には『恥ずかしいので読んだら返してね』などと書いてある父からの手紙である。仕方ないのでその都度返しているが、筆まめな彼は同じ城にいても何故か手紙をせっせと渡してくるのだからよく分からない。側近の桂元重などは「きっと親子の交流を図ろうとなさっているのでしょう」などと微笑ましげに告げるが、確かに顔を合わせれば厳しいことしか言わない元就も手紙では何となく優しい気がしなくもないので、これが一種の愛情表現というやつなのかもしれない。同じ城内にいるのに。
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